財務会計(FI)の基礎知識『統制勘定』とは何か?

SAPの財務会計(FI)の中で頻繁に出てくる言葉として『統制勘定』というものがあります。

買掛金や売掛金、固定資産等の勘定で仕訳を登録する場面、カスタマイズの説明、エラー調査など、あらゆる場面で登場します。ですが、日常生活で使う言葉ではもちろんありませんし、簿記・会計の専門書でもあまり出てくる言葉では無いため、これがどういうものなのかよく分からないと感じる方も多いと感じています。

そこで今回は、

  • 統制勘定と普通の勘定コードは何が違うの?
  • なぜ売掛金や買掛金は会計伝票登録時に直接入力できないの?
  • 統制勘定を使わなかったら何が困るの?

という統制勘定の基本的な内容についてご説明したいと思います。

統制勘定は総勘定元帳と補助元帳を繋ぐもの

一言で統制勘定が何かを説明するなら『補助元帳を持つ勘定』のことです。

ほとんどのケースでは債権・債務・固定資産の3種類が統制勘定として扱われます。(最近のバージョンでは銀行勘定用の統制勘定が追加されたそうなので、今後は銀行勘定も統制勘定として扱うケースが増えるのかもしれませんね)

例えば、売掛金の場合、『売掛金勘定』というG/L勘定で金額を把握することは当然必要ではあるのですが、それだけでは管理として不十分で、どこの得意先に対していくら売掛金があるのかを把握しておく必要があります。

売掛金の残高が3,000円というのが分かっているだけではなく、得意先Aに対して1,000円、得意先Bに対して2,000円という形で、得意先毎の残高が把握できないと入金消込や入金予定日の超過による催促など業務的な観点で不都合が出るわけですね。

上記の例の場合、売掛金という勘定に対して統制勘定とするための設定を勘定コードマスタで行うと、GL勘定としての残高(総勘定元帳としての残高)に加えて、補助元帳として得意先単位の管理ができるようになるということです。同じようなイメージで債務勘定や、固定資産勘定についても統制勘定とすることが可能です。

統制勘定にすることでできること

統制勘定が何かについての説明をしてきましたが、次はもう少し踏み込んで勘定コードを統制勘定として定義することで可能となることが何なのかについてお話ししていきたいと思います。

得意先・仕入先単位の消し込みができる

先ほども少し触れましたが、統制勘定にすることで、債権なら得意先、債務なら仕入先単位での管理ができるようになります。

現金商売のみの場合は、取引を行う時にその場でお金のやり取りが行われるのですが、現代のビジネスシーンにおいては取引先との契約により取引が行われた時ではなく、後日支払を行う形になることがほとんどです。

その場合、入金を受ける予定の額を売掛金等の債権、支払を行う予定の額を買掛金などの債務として一旦計上し、期日が来た時に入金・支払を行うことになります。この入金・支払が予定通り行われたものに対しては、消し込みをしていき、消し込みできていないものが無いかをチェックすることになりますが、統制勘定として得意先・仕入先単位で管理しておくことで、どの取引先への入金・支払は予定通り行えていて、予定通りに行えていない取引先はどこかを把握することができるようになります。

詳細なレポーティングが可能になる

統制勘定として定義することで、SAP標準で提供されている詳細な情報が参照できるレポートが使用できるようになります。

「得意先明細照会・得意先明細ブラウザ」や「仕入先明細照会・仕入先明細ブラウザ」など、補助元帳をベースにしたレポートが使用できるようになります。債権(AR)、債務(AP)を導入している場合には、これらのレポートをほとんどのケースで使うことになりますが、これらが使用できるのは、統制勘定として定義しているからであることは理解しておく必要があるでしょう。

固定資産については、固定資産モジュールの対象となる勘定については統制勘定として定義する必要があるため、どの勘定を統制勘定として定義するのかの検討は必要なく、また、固定資産モジュール内に標準レポートがいくつか用意されているため、それらが使用できる形になります。

仕訳登録時の統制勘定の注意事項

統制勘定を使用する場合、会計伝票に仕訳を登録する時に、通常のGL勘定とは少し異なる点がありますので、それについて簡単に説明しておきます。

繰り返しになりますが、統制勘定として定義した勘定コードの場合、得意先や仕入先、固定資産など、もう一段詳細な情報を管理することになります。そのため、それらの勘定で仕訳を登録する場合は、その詳細な情報を入力する必要があります。

具体的には、「勘定コード」の欄に通常はGL勘定コードを入力することになりますが、統制勘定の場合は、得意先コードや仕入先コード、固定資産コードを入力することになります。直接、売掛金などの勘定コードを入力するとSAP標準のチェック処理でエラーが返ってくる仕組みになっているため、誤って登録してしまうことはありませんが、知らないと何のエラーなのか分からず、仕訳の登録に手間取ってしまうと思いますので、覚えておいてください。

ちなみに、得意先統制勘定・仕入先統制勘定・固定資産統制勘定などごとに転記キーが決まっており、その転記キーとセットで正しく入力する必要があるため、要注意です。

まとめ

今回は、SAPの財務会計(FI)モジュールの基本知識として「統制勘定」について説明しました。

FIを導入していて、統制勘定を使わないというケースは今まで経験したことが無いぐらい必須の概念になりますので、初めて知ったという方は、この機会に理解してもらえたらと思います。

また、統制勘定に関連して、債権・債務額に対して一部だけ入金・支払があった場合のSAPでの処理方法について説明した記事も書いていますので、ご興味あればそちらも読んでみてください。

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