SAPの財務会計(FI)を利用していると、「機能領域(Functional Area)」という項目を目にすることがあります。
しかし、どの企業でも必須で使用すべき機能ではありませんし、別の手段で要件を満たすこともありますので、機能領域というものの存在は知っているけれど、具体的に何に使う機能なのかは分かっていないという方もいらっしゃると思います。
本記事では、SAPにおける機能領域の概要や用途、設定方法、導入時の検討ポイントについて解説します。
機能領域(Functional Area)とは
まず最初に、機能領域とは何かということから説明していきたいと思います。
機能領域を一言で言うと、『費用・収益がどの業務機能で発生したものであるか』の観点で分類するための項目です。つまり、その費用が製造で発生したのか、販売で発生したのか等を把握するために活用するものです。
よくある分類としては以下のような形で機能領域を切り分けることが多いです。
- 製造
- 販売
- 管理
- 物流
- 研究開発
発生領域毎に勘定コードを分けて管理するケースもありますが、勘定コードは1つで機能領域によって発生部門を管理することができます。例えば、減価償却費や給与等の勘定に対して、どのような理由で発生したのかを分析するために機能領域を使うことができます。
機能領域が必要な理由
損益計算書の構成として、売上高から売上原価を控除して売上総利益を計算し、そこから販売費および一般管理費(販管費)を控除して営業利益を算出する形になっています。
ポイントとしては、売上原価と販管費は別々に計算する必要があるというところで、売上原価は製造原価のうち販売された分であり、販管費と同じ勘定で費用が発生し得るということです。先ほども例に挙げた減価償却費ですが、工場の製造に使う機械に対して発生したものは製造原価になりますし、本社ビルの減価償却費であれば販管費になります。
どんな事業の活動領域に起因して発生したかによってP/Lでの表示箇所が異なるため、それを機能領域を使って管理することが出来るということになります。
機能領域は売上原価会計で使用される
ここで少し視点を変えて、機能領域はどのようなニーズを満たすために用意されたのかという話をしたいと思います。
詳しい会計の話はここでは割愛しますが、知っておくと理解が深まる概念として『売上原価会計』と『期間会計』というものがあります。企業の利益をいかにして算出するかという観点で、売上原価会計は販売した収益から、それに対して掛かった費用を引くことで利益を算出する考え方で、期間会計は一定期間(通常は1年)で区切った中で発生した収益と費用を引いて利益を算出するという考え方です。
Web上にあがっている説明を読んでいると、英語圏は売上原価会計なので機能領域が必須で、日本は期間会計なので必要ないというのが多いように思いました。たしかに、機能領域を必ず使わないと要件を満たせないことはありませんが、日本でも売上総利益の計算は収益に掛かった費用のみで計算しますので、売上原価会計の考え方も含められているのではないかと思っています。
また、固定費は期間をベースに発生しますが、全てを当期の費用とはならず、期末の棚卸資産として翌期以降に繰り越されることからも、完全な期間会計ではないのではないかと思います。
※会計自体の専門家では無いので、この辺りの深堀りは機会があれば専門家に聞いてみたいと思います。
機能領域は原価センタから導出する
話をSAPに戻して、具体的にどのように機能領域を使うのかについて説明していきたいと思います。
基本的には、原価センタマスタに機能領域を設定する項目がSAP標準として用意されているため、原価センタの機能に応じて機能領域を予め設定しておくことになります。そうすると、その原価センタで費用の明細を転記した時に、原価センタから会計伝票明細に機能領域が誘導されることになります。
まとめ
会計系のモジュールを担当している場合に、知っておきたい機能である『機能領域』について解説しました。
どのSAP導入企業でも使用しているというようなものではありませんが、全く使わないようなものでもなく、それなりに使用する機会もありますので、ぜひこの機会に覚えておいてもらえたらと思います。