SAPを含めERPシステムでは、企業の基幹業務で発生するデータが1つのデータベースに登録され、シームレスにシ動くというのがベースの考え方となります。SAPコンサルとしてはSD・MM・PP・FI・COなどモジュールごとに専門領域に分かれてチームを組んで仕事をすることが多いのですが、システムとしてうまく連携して動かすためには他のモジュールの事も知っておく必要があります。
もちろん詳細な部分は、そのモジュールを専門としている人に任せるとしても、最低限知っておきたい部分というがあるため、今回はSDの基本の流れについて説明しておきたいと思います。
SD(販売管理)の流れ
SD(販売管理)モジュールで管理するのは、顧客から注文を受けて売上が計上されるまでです。
大きくは次の3つのステップになります。
- 受注
- 出荷
- 請求
細かく見ていくと、引き合いや見積りがあったり、商品・製品販売やサービス販売など売り物による違いがあったりと奥は深いのですが、最低限知っておきたい基本の部分について説明しておきます。
顧客から注文を受けたら受注伝票を登録
見込み生産なのか、受注生産なのかによって全体の流れは変わってきますが、そのどちらであっても顧客から商品・製品の注文が入った時にSAPのシステム上でオペレーションとして受注伝票の登録を行います。
受注という言葉からも分かる通り、「注文を受ける」ことで、それをシステム上で記録しておくための伝票が受注伝票です。どの得意先から、どの品目に対して、何個の注文を受けたのかを記録します。受注伝票に限らず、SAP標準機能として用意されているマスタや伝票にはかなり多くの項目がありますが、パッケージソフトとして多くの業種の多くの企業に対応できるようにあらかじめ包括的に用意されているだけなので、最初は深く入りすぎずに大まかなイメージをつけることから始めていきましょう。
受注伝票を登録するトランザクションコードは『VA01』で、伝票タイプと販売エリア(販売組織、流通チャネル、製品部門)を指定して登録する形になります。
直接SAPの画面(最近ではFioriと呼ばれるWebブラウザベースの画面)で入力することもありますし、EDIなどデータ連携して受注伝票を登録するケースもあります。
出荷について
得意先から商品や製品に対して注文を受けたら、次に企業として行うことは商品・製品を用意して得意先に届けることです。自社の倉庫に在庫を持っている商品や製品の場合は、すぐに得意先に届けることができるかもしれませんが、注文が入ってきてから製品の生産をする場合は、製造のプロセスを経てから届けることになります。
いずれにしても、得意先から注文を受けた商品・製品が用意できたら次は出荷伝票の登録を行います。倉庫にある在庫から得意先に送り届けるために、ピッキングをしたり、配送用のトラックに積荷をしたりといった作業を行います。倉庫から物理的に商品・製品が出て行ったらSAP上では出庫確認という処理を行い、自社倉庫から在庫が引き落とされる形になります。(具体的には、該当の品目が管理されていた保管場所から出荷した数量が減少します)
この時の出荷伝票を登録する処理はトランザクションコード「VL01N」で行い、諸々の出荷作業が終わり出庫したら「VL02N」で出庫確認を行います。
もし、海外への輸出など出庫してから得意先へ届くまでにタイムラグがあり、得意先に届いたところまでSAPシステムで管理する必要がある場合は、出荷証明(トランザクションコード:VLPOD)という機能を使用することになります。
請求について
商品・製品を出荷した後は、得意先に対して請求をすることになります。
この請求を行う時にSAP上で行うのが請求伝票の登録です。請求伝票の登録を行うと、同時にFIの会計伝票が登録される仕組みとなっており、「売掛金 / 売上」の仕訳が登録されることになります。業務的には、この請求伝票のデータを使って、請求書を作成し、それを得意先に送付(紙の場合も、電子データの場合もあります)し、得意先と取り決めたタイミングで支払いを行ってもらうことになります。
請求伝票の登録はSAPでは、トランザクションコード『VF01』を使って行います。その企業の承認フローにもよりますが、請求処理までは営業担当者の業務で、売上計上は経理部の承認を得てから行うようなケースであれば、請求伝票の登録時には仕訳を行わず、請求伝票登録後に会計リリースという処理を行うことで仕訳を起こすことも可能です。
簡単ではありますが、SDの基本的な流れである「受注→出荷→請求」について説明しました。
ロジ(SD、MM)モジュールが専門の人には当たり前すぎる内容だと思いますが、会計(FI、CO)モジュールが専門の人や開発系の人も知っておくとスムーズに仕事が進むと思うので、ぜひこの機会にしっかりと流れを押さえておいてもらうと良いと思います。