会計の基本は簿記ですが、簿記というのは日々の取引を帳簿に記録していく作業のことです。
この日々の取引を記録する手段として、以前は紙しか無かったので紙の仕訳帳に記録していくという方法が採られていました。ですが、1冊の仕訳帳に企業の全ての取引を記録していくというのは、物理的な制約もあり不便なことも多く、そこで登場したのが伝票に記録するという方式です。
今の時代にはSAPのような会計システムを使って取引を記録していくことが当たり前になりましたが、そのベースになっているのは、過去の紙で記録していた方法です。ですので、今回はその仕訳帳と主要な伝票について解説していきたいと思います。
日々の仕訳を記録する仕訳帳
SAPを導入している規模の企業の場合、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成して、株主や債権者などステークホルダーのために公開する必要があります。また、法人税等の納税のためにも財務諸表を作成して、それをベースに納税額の計算をする必要があるため、そのために日々発生する取引の記録を残していかないといけません。
その取引の記録をする方法の1つが仕訳帳と呼ばれる帳簿に仕訳を記録していく方法です。
イメージとしては、仕訳を書くために特化した形式の1冊のノートに時系列に合わせて仕訳を書いていくというものです。その仕訳帳の内容を決算処理として集計して財務諸表を作成していくというものです。
SAPの仕事をしていると大企業の1年間の仕訳の数を確認することもありますが、あの量を手書きで処理すると思うと気が遠くなる作業に思いマスが、昔はそれを実際にやっていたということです。すごいですね。
ただ、その1冊の仕訳帳に記録していくのには限界があったので、代替手段として伝票記録方式と呼ばれる方法が登場した形です。
入金取引を記録する入金伝票
伝票記録方式にはいくつか方法があるのですが、今回は3伝票制というのを説明したいと思います。
3伝票制というのは3種類の伝票で取引を記録していくという方法で、その1つ目が『入金伝票』です。
入金伝票というのは、字面からも分かると思いますが、入金の取引を記録するための伝票です。つまり、借方が現金や預金、貸方が収益や債権という仕訳を表現するための伝票です。
イメージの沸かない方は100円ショップの事務用品コーナーに行くと、紙で記帳するための伝票が置いてあるので、それを見てみても良いかもしれませんね。
出金取引を記録する出金伝票
入金伝票が分かれば出金伝票は分かりますよね。
入金伝票とは逆に、現金や預金がマイナスになる、つまり支払いや債務をする時に使う伝票が出金伝票です。なぜ、3伝票制という3種類だけに絞って伝票を作成する方法のうちの2種類が入金、出金なのかというと、それらの取引の数が多いということと、やはり企業活動においてお金の動きをしっかりと記録していくことが重要だからでしょう。
汎用的に取引を記録する振替伝票
入金、出金以外の取引は全て振替伝票に記録します。
振替伝票の場合は、決まった取引を記録する入金伝票、出金伝票とは違い、色々な取引を記録する必要があるため、汎用的に使えるようなフォーマットになっています。
借方・貸方ともに自由な形で記載できる伝票が振替伝票ということです。
SAPでは各伝票をどこから登録するのか
上記でご紹介してきた3種類の伝票ですが、それぞれSAPにもそれらに該当する伝票登録の機能が用意されています。
- 振替伝票:FB50
- 出金伝票:FB60
- 入金伝票:FB70
システムサイドの方はFB01を使う機会が多いと思いますが、ユーザーフレンドリーな機能にはなっていないので、ユーザー向けには上記のような機能を提供することが多いです。
また、冒頭で仕訳帳の代替として伝票に記録する方式が登場したと説明しましたが、それは紙の帳簿に記録する時代の話で、今の時代はSAPなどのシステムを使って記帳することがほとんどです。
ですので、伝票で取引を記録しながら時系列に並べて仕訳帳のように表示することが可能となりました。SAPのFIにも仕訳帳が用意されているので必要な場合にはそれを使うと良いでしょう。
・伝票仕訳帳:S_ALR_87012287
今回、仕訳帳と伝票について説明してきました。
財務会計(FI)の対応をするときには基礎となる知識となるので、知っておいてもらうと良いと思います。
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