SAPのFIで会計伝票を手入力するときは、扱う取引に応じてトランザクションを選びます。代表的なのは、汎用的な伝票入力のFB01、G/L勘定への仕訳に使うFB50、仕入先請求書のFB60、得意先請求書のFB70です。ここでは各画面の用途と、開発時に知っておきたい違いを整理します。
会計伝票を登録する主なトランザクション
| コード | 主な用途 | 画面の特徴 |
|---|---|---|
FB01 | 会計伝票の汎用的な入力 | 転記キーを指定し、明細を順に入力する従来型の画面 |
FB50 | G/L勘定の仕訳入力 | G/L明細を一覧で入力するEnjoy系の画面 |
FB60 | 仕入先請求書の入力 | 仕入先への債務を計上するEnjoy系の画面 |
FB70 | 得意先請求書の入力 | 得意先への債権を計上するEnjoy系の画面 |
FB60は支払処理、FB70は入金処理そのものではありません。それぞれ請求書を入力し、債務・債権を計上するための画面です。入出金や消込は別の業務・トランザクションとして考えます。また、利用できる取引や項目は、導入製品・権限・カスタマイズによって異なります。
FB50・FB60・FB70:業務に合わせたEnjoy画面
FB50、FB60、FB70は、ヘッダ情報と明細を見ながら入力できる「Enjoy」と呼ばれる系統の画面です。総勘定元帳への振替仕訳ならFB50、仕入先から届いた請求書の計上ならFB60、得意先に対する請求書の計上ならFB70、というように何を計上するかで選ぶと分かりやすくなります。
ただし、FB50は主にG/L勘定の転記に使う画面です。仕入先や得意先の未決済明細を発生させる取引を、通常のG/L勘定への振替と同じものとして扱わないようにします。補助元帳が関わる理由は、関連記事の「統制勘定」でも確認できます。
FB01:転記キーを使う従来型の伝票入力
FB01は、会計伝票を広く扱える従来型のトランザクションです。伝票ヘッダを入力した後、明細ごとに転記キーと勘定を指定して進めます。Enjoy画面より操作手順が多く感じられますが、転記キー、勘定タイプ、伝票タイプが伝票入力にどう関わるかを理解するうえで役立ちます。
「FB01ならどの仕訳でも登録できる」と考えるのは避けましょう。伝票タイプや勘定、会計期間などの設定による制限があり、購買・販売など他モジュールを起点に作られた伝票では、元の業務処理から登録・取消しを行う必要がある場合もあります。
プログラムから登録する場合の選び方
アドオンから会計伝票を登録する場合は、対象システムで利用できる標準インターフェースを先に確認します。SAP ERPなどでは BAPI_ACC_DOCUMENT_POST が候補です。画面操作を記録して再生するバッチインプットも方法の一つですが、画面変更や入力条件に影響されるため、利用する場合は対象トランザクションで十分に検証します。
特にEnjoy系画面をバッチインプットの前提にすると、画面上の項目や動きに依存しやすくなります。BAPIやAPIで要件を満たせるかを確認し、満たせない場合に従来型画面を含む代替案を検討する流れが安全です。詳細な注意点は関連記事の「バッチインプットプログラム」で扱っています。
S/4HANAではFioriアプリも確認する
SAP S/4HANAには、G/L仕訳の登録に使うFioriアプリ「Post General Journal Entries」などもあります。FB01・FB50が一律にFioriへ置き換わるわけではありません。利用できるアプリや画面は製品エディション、リリース、導入時の設定によって異なります。この記事は、主にSAP GUIのトランザクションを使う環境を想定しています。
登録前に確認したい項目
- 取引の種類:G/L仕訳か、仕入先・得意先の請求書かを先に決める。
- 伝票タイプと勘定:入力できる勘定タイプや必須項目を確認する。
- 転記日付と会計期間:対象期間が転記可能かを確認する。
- 登録後の確認:必要に応じて
FB03などで伝票内容を照会し、意図した明細が作られたか確認する。
参考・関連記事
- FI関連のトランザクションコード一覧:登録後の照会・反対仕訳・消込など、周辺機能を探せます。
- 伝票タイプの設定と役割:伝票入力時に選ぶ伝票タイプと、転記可能な勘定タイプの関係を確認できます。
- 統制勘定とは何か:FB60・FB70で計上する仕入先・得意先明細と、G/L勘定のつながりを学べます。
- バッチインプットプログラムの注意点:プログラムから伝票を登録するときの画面依存や実行方法を確認できます。
- 会計期間のオープン・クローズ:転記日付を指定する前に知っておきたい期間管理です。