S/4HANAで実装されたユニバーサル・ジャーナル(ACDOCA)の基本知識

S/4HANAとECCの大きな違いの1つとして、ユニバーサル・ジャーナルと呼ばれる会計の統合テーブルが実装されたことが挙げられます。

会計伝票明細のデータが保存されるテーブルというと、BSEGが主要なものでしたが、S/4HANAの場合、その意識を変える必要があります。BSEG等のテーブルも引き続き使えるのですが、ECC自体とは違い、全ての会計伝票データが登録されるわけではなくなり、どちらかというと、補助的な位置付けで残されているイメージのテーブルとなりました。

今回は、このACDOCAテーブルについて書いていきたいと思います。

従来は分断して保持していた会計データをACDOCAに統合

ECC以前のSAP ERPでは、各種会計データは以下のように用途ごとに別々のテーブルで管理されていました。

  • BSEG:会計伝票明細
  • COEP:管理会計実績明細
  • ANEP:固定資産伝票明細
  • MLIT:品目元帳伝票明細

これらのテーブルはそれぞれ独立して存在しており、FIとCOの整合性を保つための「転記ロジック」や「集計処理」等の実施が必要でした。例えば、FIの仕訳をCOへ反映するためのリアルタイム統合や、期末の再計算処理、照合転記などです。テーブルが分かれていることで、柔軟性を保ちやすいというメリットはありますが、データの不整合や仕組みが複雑になること、必要なデータを一度で取得できず手間がかかるという課題もありました。

そこで登場してきたのが、ユニバーサル・ジャーナル(ACDOCA)です。

ACDOCAというテーブルに財務会計(FI)及び管理会計(CO)の明細データを全て登録することで、会計関連のデータがこのテーブルに集約され、各種データの不整合も発生しなくなりました。

ACDOCAを可能にした技術要素はインメモリDB

S/4HANAについて調べていると、最初の方に入ってくる情報として、SAP HANAがインメモリDBを採用しているというものがあります。

このインメモリDBを採用したことによって、データ処理の高速化が実現し、集計テーブルが無くても明細テーブルから必要なデータを高速に取得できたり、JIONや集計処理が高速に実行できるようになりました。この技術的な進化を裏付けとして、ACDOCAが実現した形になります。

S/4HANAの環境を見れる方は、SE11やSE16N等の画面でACDOCAの項目を確認してもらうと分かりやすいですが、かなり多くの項目が用意されており、必要なデータはこのテーブルを見れば一旦は抽出できるようになっています。

アドオン開発はどう変わるか?

標準機能を使っている範囲であれば、内部のデータ構造が変わってデータの保持の仕方が変わったところで、それほど意識する場面はありません。

これを意識するケースとして多いのが、アドオン開発です。Fit To Standardという考え方が少しずつ広がっており、拡張開発はSide by SideでコアのERPの外で行うというのがSAPが推奨している実装方法なので、昔に比べるとアドオン開発を行う本数はかなり減ってきているように思います。

とはいえ、全くアドオン開発なしで導入するケースも少ないのではないかと思います。新規導入ならまだしも、ECCからS/4HANAへバージョンアップするという場合、現行業務はアドオン開発した機能で行っているわけですから、バージョンアップをしたことで、それを無くして業務を行ってくことは許容されないケースも多いでしょう。

そうすると、ACDOCAについても知っておく必要がありますし、ECC時代と違い、全ての会計伝票明細データがBSEGに登録されるわけではないため、抽出したいデータによってはBSEGから取得するのではなく、ACDOCAから取得するように改修しないといけないケースもありえます。

ですので、新規で開発する場合はACDOCAテーブルから取得し、従来のECCなどからS/4HANAにバージョンアップする際にはここを考慮して、必要に応じて改修を入れるようにしましょう。

BSEGに限らず、このようにS/4 HANAに変わるとテーブル構成も変わる箇所があるので注意しましょう。ちなみに入出庫関連はMATDOCというテーブルがあるので、ご参考まで。

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