SAP ERPは会計系とロジ系の機能に大きく分類することができます。
まずはそのうちの会計系の機能の中でも財務会計(FI)の部分にフォーカスをして書いていきたいと思います。(管理会計やロジについてはその後に書く予定です)
ERPというシステムの中心にあるのが財務会計で、他のモジュールからデータがここに連携されてくるため、まずこの部分をざっくりとでも押さえておくと、システム全体の理解がしやすいです。
ただ、会計が苦手だという人も多く、前提知識が無いと理解しにくいようにも思いますので、一般的な会計知識も交えながら解説していきたいと思います。
ERPシステムとは
そもそもERPというのは、Enterprise Resource Planningの略で日本語に直訳すると『企業資源計画』になります。
企業資源計画と言われてもピンとこない人も多いので、業務系の基幹システムと言う表現されることが多いです。
つまり、企業の事業活動における中心的な部分を管理するシステムで、会計部分はもちろん、在庫の管理や仕入れや販売の管理など総合的な情報を管理するためのシステムです。
そういう多岐に渡る情報を1つのデータベースで管理することで、それぞれがリアルタイムにデータ連携されるというのがメリットの1つです。
このERPシステムの中心に位置するものが会計モジュールだということです。
FIモジュールを使う目的
そのFIモジュールの目的は大きくは2つです。
- 財務諸表の作成
- 日々の経理業務の効率化
SAPを導入する企業というのは基本的に証券取引所に株式を公開している上場企業で、そのような企業は事業活動の報告として財務諸表を作成して開示する必要があります。
つまり、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書を作成する必要があり、これらをSAPシステムで作成するということです。(キャッシュフロー計算書については、SAPシステム外で作成するケースもけっこうあります)
財務諸表というのは、企業が事業活動を行った取引等の記録として日々記帳している会計仕訳を元に作成することになるため、簿記のルールに則った形で情報を蓄積しておく必要があります。
それが会計伝票として登録されている仕訳情報です。
プラス決算整理の仕訳を追加して財務諸表を作成するというのが大きな流れです。
もう1つFIモジュールで行うことは、経理業務の効率化です。
会社として活動する上で、経理処理をしっかりと行うことは、財務諸表を作成することにプラスして、租税金額を計算する元情報とすることからも求められていることで、経理業務というのは省略することができません。
どんなに業務が忙しくても、どんな不測の事態が起っても、必ず行う必要があります。
経理業務というのは、何かしらお金が動く時には必ず発生しますし、現金が動かなくても行うべきこともあり、かなりやることが多かったりします。
そのような煩雑な経理業務を効率的にこなせるようにするというのも会計システムに求められることで、SAP ERPにも当然、経理業務に活用するための機能が多数用意されています。
FIはロジに比べると企業間の差異が少ない
SAP ERPを導入する時には、会計チームとロジチームに分かれてプロジェクトが進められることが多いです。
もちろんシステム的に連動しているものなので、完全に分離することはできないですし、両者の整合性が取れていないと上手く効果が出せなくなるので、ポイントポイントですり合わせながら進めることになるのですが、それだけ機能的な部分も考え方も会計とロジでは異なっています。
(本来はチームを分けずに一体となって進めるべきなのですが、便宜上分けられることが多いというのが実際です)
当然、企業によって事業内容も違いますので、それに合わせるようにシステムも異なるのですが、会計に関しては企業間の差異はあるとはいえ、ロジに比べると差異が小さいといえます。
なぜなら、会計というのは会計基準と呼ばれる大きなルールに則って会計処理をするため、その範囲内でしか差異が発生しません。
ですが、ロジに関しては共通している部分もありますが、企業独自の部分も多く、それに合わせてシステムを構築していく必要があるため、企業によって全然違っていたりします。
ERPというシステムのコンセプトとして、業務をシステムに合わせて行うというのがあるので、似通った使い方になることもありますが、全く独自の使い方をする企業も少なくはないので、それに比べると会計はどこの企業でも同じような形になりやすいと言えます。
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