SAPの生産管理(PP)で登場する各種「所要量」を解説

生産管理モジュールに関わるようになると、「所要量」という言葉を耳にすることになります。

ざっくりと製品や原材料などの「必要な量」という理解で良いのですが、SAPコンサルとしてはもう少し詳細に理解しておきたいところです。そこで、今回は、SAPの生産管理モジュール(PP)で扱う各種所要量の概念について解説していきます。

独立所要量と従属所要量

製造業の場合、原材料をサプライヤーから仕入れて、それを加工して販売用の最終製品を生産していくことになりますが、その製品を作るにはどの原材料をどれぐらい必要になるのかをBOM(部品表)を使って管理することになります。

このBOMの一番上位階層が最終製品になり、その下位層に原材料や半製品などがぶら下がる形になります。最上位層にあたる製品の所要量を『独立所要量』、下位層の原材料や半製品の所要量を『従属所要量』と言います。

上記図は簡単なBOMのイメージですが、1つの製品を作るためにはいくつもの原材料や半製品を使ってそれらを加工して製品となります。この図では『原材料』、『半製品』としか書いていませんが、必要な個数はそれぞれ異なることになります。また、製品を作るのがいくつかによって、それらの個数は従属的に決まる形になります。

従属所要量についてはMRPで計算する形になるのですが、そこで算出されてくる構成要素の所要量が従属所要量ということです。

計画独立所要量と受注所要量

先ほど、販売する製品レベルの必要量を独立所要量と呼ぶという話をしました。この独立所要量には『計画独立所要量』と『受注所要量』の2つがあります。

計画独立所要量というのは、主に見込生産している製品の場合に使うもので、いつ頃にいくつぐらい売れるという需要予測を立てて、それを計画独立所要量として登録します。そうすると、その数字に合わせた従属所要がどれぐらいなのかをMRPで算出してくれるというものです。

一方、受注所要量というのは受注による所要量のことです。受注伝票が登録されることによって発生する所要で、主に受注生産している製品の場合に使います。

計画独立所要量、受注所要量を製品の所要量としてMRPにインプットし、それをもとに従属所要量を算出します。そして、算出された原材料や外部から調達する半製品などは購買発注に繋げるために購買依頼伝票を登録し、製品や内部で生産する半製品などは製造指図に繋げていくという流れです。

まとめ

言葉だけを聞くと馴染みがなく難しいと感じるかもしれませんが、1つずつ落ち着いて理解をするとそんなに難しくはない概念だということが分かると思います。PPが導入されている場合は、耳にすることも多い概念だと思うので、ぜひこの機会に理解しておきましょう。

関連トランザクションコード

・計画独立所要量登録:MD61

・BOM登録:CS01

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