WBSや各種指図(製造指図、内部指図、サービス指図 etc.)などを使用している場合、それらがどのようなステータスかによって出来るオペレーションが違っていたり、計上した原価を決済する際の結果が変わったりするため、ステータスを意識して使う必要があります。
ステータス自体はSAP標準で用意してくれているため、基本的にはそれをそのまま活用するだけでよく、任意のステータス管理をしたい場合には『ユーザーステータス』というカスタマイズが用意されているため、そちらを定義する形になります。ですが、アドオンプログラムの中で標準のステータスを扱いたい場合や、WBS登録・変更のチェック・代入をステータス毎に設定したい場合などでは、内部で設定されているコード値で制御する必要があります。
今回は、ステータスの内部コードを確認する方法について解説します。
基本的なステータスのおさらい
WBSや各種指図にはさまざまなステータスが設定されていますが、標準で用意されている代表的なステータスをおさらいしておきたいと思います。他にもたくさんのステータスがありますが、今回はどのケースでも出てくる最頻出の4つだけ確認しておきます。
1. CRTD (Created)
ステータスCRTDは、オブジェクトが作成されたことを示します。WBSでも指図でも登録した直後はこのステータスになります。
このステータスの時点では、まだ実行が開始されていないため、実績の計上等はできません。
2. REL (Released)
ステータスRELは、オブジェクトがリリース(承認)され、実行可能な状態であることを示します。
イメージとしては担当者がWBS等のオブジェクトを登録(CRTD)、管理者が承認(REL)して実際の作業やプロセスが開始されます。実際のマスタ運用としてはSAP外で承認のワークフローを回して、SAPへの登録は承認まで一気に実施するというケースもあります。
3. TECO (Technically Completed)
ステータスTECOは、技術的に完了したことを示します。そのプロジェクトや指図等での作業が終了したという状態です。
作業が完了した月にTECOにして、月次処理で決済処理を実施することで、製品や売上原価などを計上するという形が多いと思います。
4. CMPL (Completed)
ステータスCMPLは、オブジェクトが完了したことを示します。
そのプロジェクトや指図に関する締め処理を含め全てが完了したら、このステータスに変更します。このステータスに変更すると結果分析や決済の対象外となるため、月次処理のパフォーマンスを考慮して完了したらこのステータスにすることが望ましいでしょう。
ステータスの内部コードの確認方法
WBSや指図のステータスの内部コードを確認するためには、T-CD:BS22を使用します。BS22では、ステータスとそれに関連するコードを一覧で確認することができます。
アドオン開発におけるステータスの内部コードの使用
アドオン開発では、ステータスの内部コードを使用して特定の条件を判定したり、処理を実行したりする必要があります。例えば、特定のステータスのオブジェクトのみを対象とする処理を行う場合、この内部コードを利用してフィルタリングを行います。
ステータス情報が管理されているテーブル
ステータス情報は、SAP標準のJESTテーブルに保存されています。JESTテーブルには、各オブジェクトのステータス情報が保存されています。
JESTテーブルの構造
- OBJNR: オブジェクト番号
- STAT: ステータスコード
- INACT: ステータスの有効/無効
これらのフィールドを使用して、特定のオブジェクトのステータスを照会したり、処理を行ったりすることが可能です。
まとめ
WBSや指図のステータスは、SAPシステムにおいて重要な情報を提供します。T-CD:BS22を使用して内部コードを確認し、アドオン開発で適切に活用することで、より効率的なシステム運用が可能になります。データベーステーブルJESTを利用して、ステータス情報を管理・活用する方法についても理解しておくと良いでしょう。
これらの知識を活用して、SAPシステムの効果的な運用を目指してください。
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