収益性分析(CO-PA)のトップダウン付替

SAPの管理会計(CO)モジュールには、間接費会計(CO-OM)、製品原価管理(CO-PC)など原価計算に関するコンポーネントと、収益性分析(CO-PA)というコンポーネントがありますが、今回は収益性分析の機能である『トップダウン付替』について解説したいと思います。

言葉だけの印象で難しそうだなと感じるかもしれませんが、基本的な部分だけだと意外に難しくないなと感じると思いますので、イメージだけでもつかんで帰ってください。

簡単に収益性分析について概要説明

まず最初に収益性分析が何なのかを知らないと個別の機能であるトップダウン付替の話もさっぱり分からないと思うので、先に収益性分析というのがどういうものなのかを簡単に説明しておきたいと思います。

『収益性分析』という言葉から想像は付くかもしれませんが、『企業の収益性を分析する』ために使用するSAP ERPのコンポーネントです。これだけだと説明の意味がないので、もう少しだけ詳しく説明していきますが、SAPを導入するような企業というのは、基本的には多くの商品やサービスを販売しており、また、販売先も日本国内だけにとどまらずグローバルに事業を展開している企業が多いです。

そうした時に、「この商品は利益が出ているが、この商品では赤字になっている」ということや、「この地域ではよく売れているが、この地域では売れていない」というようなことが必ず出てきます。このような情報はなんとなくビジネスをしていても見えてこず、後で分析ができるような形で情報を蓄積していくことで把握できるものです。

SAPのERPでは、このようなビジネスが効率的に行えているのかの分析をするためのコンポーネントとして収益性分析(CO-PA)というものを用意しており、多くの導入企業で利用されています。

分析のために収益性セグメントを設定

収益性分析を行うためには、そのためのデータをCO-PAの機能に集めてくる必要があります。どこの得意先にどの商品を販売したのかという販売データや、その商品を調達(製品の場合は製造)するためにどれぐらいのコストがかかっているのかというデータをシステムに蓄積する仕組みを作っておかないと、その後のデータ分析ができません。

そのデータを集めてくるための仕組みとして、SAPの収益性分析では『特性』という分析軸を定義して、管理するようになっています。上記の例では、販売した商品を表す品目や販売先の得意先など分析の軸となる項目を定義していく形になります。また、個別の得意先ではなく「国内・北米・南米・・・」などのエリア毎に分析できるようにしたり、個別の品目ではなくある程度分類した単位で分析したいというような場合には、それらも特性として定義しておけば、後でその切り口で分析ができます。

その分析したい項目を特性として定義し、それを各取引で起きる伝票(会計伝票、受注伝票、請求伝票など)から集めてくるのですが、その特性をまとめたものを『収益性セグメント』と呼びます。

トップダウン付替で特性値を配賦

ここまでの説明で、収益性分析の機能を使って分析するためには収益性セグメントに値を設定して、データを連携しておかないといけないということは分かったと思います。

この収益性セグメントに値を設定するために、ユーザーが伝票登録時に入力したり、特性誘導というカスタマイズで値を誘導したり、Exitを組んで値を設定したりするのですが、取引の内容や特性によっては個別の値を設定できないケースも当然出てきます。その場合に、特性間での金額の付け替えを行う機能がトップダウン付替です。

例えば、北米で100億円売上が上がっているけれど、アメリカでいくらカナダでいくらという細かい金額がシステム上取れないというような場合、配賦基準を用意してその割合でアメリカ70億、カナダ30億のような形で配賦するような形です。実際は売上とかだと、ちゃんと管理されていて付替しなくても良いことが多いと思いますが、運送費や通関費用など個別の品目に計上しにくいものを大きな単位で計上しておき、比率で分けるというような感じで使うことが多いのかなと思います。

関連のトランザクションコード

トランザクションコード内容
KE28実績のトップダウン付替の設定(配賦、値コピーなど)
この機能から実行も可能
KE28A実績のトップダウン付替の実行
KE28L実績のトップダウン付替結果の確認
KE29トップダウン付替の取り消し
KE1G計画のトップダウン付替の設定
この機能から実行も可能
KE1C計画のトップダウン付替の取り消し
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