先日、財務諸表について記事を書きました。
財務諸表と呼ばれるものにはいくつか種類がありましたね。それらを1つずつ解説していこうと思いますが、今回は貸借対照表(B/S)についてです。貸借対照表は『Balance Sheet』の略でB/Sと表現することも多いのですが、企業の財政状態を表す帳票です。
業種・業態によって表示構造が異なることもあるのですが、今回は一般的な企業で作る普通の貸借対照表を前提に解説したいと思います。
貸借対照表の構造
貸借対照表は、次の3つの分類に分けて表示する形になります。
- 資産の部
- 負債の部
- 純資産の部
それぞれを詳細に見ていくと、色々と押さえておくべきポイントがあるので、それは後で書きますが、まずはこの3つの分類で表示するということを覚えてください。
この3つの分類のうち、資産の部は借方、負債の部と純資産の部は貸方に属するものになります。別記事で会計の基本となる簿記についても書いていこうと思いますが、仕訳をする時に各勘定科目を借方・貸方のどちらに記帳するのかは貸借対照表のどれに該当するのかで決まることになります。(損益計算書の科目も同様です。)
資産の部は調達した資金の運用結果を表示
それでは具体的にそれぞれを見ていきましょう。まずは資産の部です。
まず資産の部には『流動資産』と『固定資産』という分類があります。端的に言うと、短期間で現金化出来るものを流動資産、長期間保有して使用するものを固定資産に分類するのですが、具体的に分類する時には次の2つの基準で考えます。
①正常営業循環基準
その企業の主な事業に関する取引を営業内取引といいます。
例えば、自動車メーカーが販売目的で保有する車は、棚卸資産と呼ばれ、それを販売した時には売掛金という債権を計上します。また、自動車を製造するために購入した材料も棚卸資産に計上し、材料を掛けで購入した場合は買掛金という債務を計上します。
このような自動車メーカーが主な事業サイクルの中で発生する債権、債務、在庫は流動資産に計上するというのが、正常営業循環基準です。
同じ車を保有していたとしても、自動車を販売することを生業としていない企業の場合は、固定資産に計上することになります。
つまり、その企業の事業内容に照らし合わせて流動資産・流動負債に計上すべきかどうかを判断する必要があるということです。
②一年基準
正常営業循環基準に該当しないような資産や負債に関しては、決済期日が決算日の翌日から1年以内に到来するかどうかで流動・固定の判断をするというものです。
例えば、定期預金の契約をしていて、満期日が1年以内なら流動資産の部に表示しますし、5年後とかなら固定資産の部に表示します。
負債の部には融資や取引先から調達した資金を表示
資産の部に関しては、貸借対照表の借方に属するものですが、負債の部、純資産の部に関しては貸方になります。貸方に関しては大きな考え方として、どういう形で資金調達をしたのかを表すものになります。
負債の部に関しては他人資本での調達を表します。具体的には、銀行からの借入や取引先への支払い義務である買掛金などが該当します。
先ほど少し触れていますが、負債も資産と同様に流動負債・固定負債に分類して貸借対照表に表示することになり、その判断基準も流動資産と同様に『正常営業循環基準』と『一年基準』となります。
純資産は株主から調達した資金を表示
最後に純資産の部です。
負債が他人資本と呼ばれているのと対比させて言うと、純資産は自己資本と呼ばれます。
具体的には株式を発行して株主から調達した資金を資本金と呼び、純資産の部の主な科目として資本金があることや、過去の利益の蓄積である利益剰余金も純資産の部であることから自己資本と表現されます。
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