SM30で保守できる更新ビューの設定値を、別クライアントと比較したいときがあります。SM30の比較・調整機能では、RFCで参照したクライアントの値を確認し、必要な行をログオン中のクライアントへ反映できます。ただし、これは一度限りの比較・コピーであり、自動同期ではありません。設定変更を開発環境から検証・本番環境へ配る場合は、まず移送の運用を確認します。
最初に確認:比較元と反映先はどちらか
SM30で比較・調整を起動したとき、RFCで接続するクライアントが比較元、現在ログオンしているクライアントが反映先です。たとえばクライアント100の設定をクライアント200へ反映するなら、200にログオンしてから100を参照するRFC接続先を指定します。画面上で比較するだけなら値は変更されません。コピーして保存した時点で、ログオン先の値が変わります。
「同期」という言葉から継続的な連携を想像しがちですが、この機能はその場で差分を調べ、必要に応じて反映するためのものです。後から比較元を変更しても、反映先が自動で追随するわけではありません。
移送とSM30の比較・調整をどう使い分けるか
- 移送:開発・検証・本番などへ設定変更を正式に展開するときの基本。対象が移送管理される設定か、移送依頼に記録されるかを確認する。
- SM30の比較・調整:保守可能な個別のテーブル/ビューについて、他クライアントとの差分を確認する。承認済みの限定的な調整に使う。
- SCC1:同一システム内の別クライアントへ、移送依頼に記録された変更を反映する場合に検討する。実行範囲と権限は運用ルールに従う。
- SCMP・SCU0:個別テーブルの比較や、複数のカスタマイズオブジェクトの比較を検討するときの候補。目的と対象範囲に合わせて選ぶ。
- クライアントコピー:クライアント全体を対象とする別の作業。少数の設定行を合わせる目的で安易に選ばない。
設定値であっても、すべてが同じ移送方法に乗るわけではありません。対象ビューの記録方式と、プロジェクトの変更管理ルールに従って判断してください。
作業前に確認する5項目
- 対象:ビュー/テーブル名、キー項目、クライアント依存性、更新ダイアログの有無を特定する。クライアント非依存の値には、通常の「クライアント間コピー」という前提を当てはめない。
- 接続:比較元を指すRFC接続先が用意されているか、管理者に確認する。SM59は接続先の確認に使うが、作業のために独断で新しい接続を作成しない。
- 権限・変更可否:参照元の読取権限、反映先の保守権限、クライアントの変更設定、実施承認を確認する。
- 影響範囲:既存行の上書き、不要行の取り込み、削除候補、関連テーブルや後続処理への影響を確認する。
- 戻し方:変更前の値、変更対象キー、作業日時、担当者、復元方法を残す。必要な場合は移送依頼や変更記録との関係も確認する。
SM30で比較して必要な行を反映する手順
画面名やメニューの表記はSAPの製品・リリースで異なります。以下はSAP GUIで個別の保守ビューを扱う場合の一般的な流れです。まず比較だけ行い、差分の内容を確定してから反映を判断します。
- 反映先のクライアントにログオンし、トランザクションSM30を開く。
- 対象のテーブル/ビュー名を入力し、保守(変更)画面へ進む。
- メニューの「ユーティリティ → 調整/比較」に相当する項目を選ぶ。表記が異なる場合は、そのシステムのメニューとヘルプを確認する。
- 承認済みのRFC接続先を指定し、比較元クライアントのデータを表示する。画面上の接続先・クライアント・オブジェクト名を再確認する。
- 差分をキーごとに確認する。追加・変更・削除などの候補を見て、反映が必要な行だけを選ぶ。比較元にあるからという理由だけで全件コピーしない。
- 選択した内容を反映・保存し、同じ対象を再比較する。対象業務の画面や処理でも期待どおりに動くか確認する。
比較・調整によるコピーは、対象の値をログオン先へ直接書き込む場合があります。SAPの説明でも、この対話的なコピーでは通常の業務チェックが行われない点に注意が促されています。特に本番環境や会計設定では、担当者の承認と検証なしに実施しないでください。
つまずきやすい点
RFC接続先が選べない・比較できない
接続先の向き、接続ユーザー、権限、クライアントの設定を確認します。接続障害や権限不足を回避するために権限を広げるのではなく、BASIS担当者と原因を切り分けます。
比較できても反映できない
対象が保守可能か、現在のクライアントで変更が許可されているか、必要な権限があるかを確認します。また、比較結果と反映対象は同じ意味ではありません。更新ビューが複数テーブルに関係する場合は、ビューの定義と関連データも確認してください。
標準カスタマイズも一括で合わせてよい?
いいえ。標準カスタマイズや為替レート、会計期間などは、運用・移送・有効日・権限の管理方法がそれぞれ異なります。SM30の画面が使えることと、その方法で反映してよいことは別です。対象設定の正式な保守トランザクションと運用手順を優先してください。
作業後の確認チェックリスト
- 比較元・反映先・対象オブジェクトと変更したキーを作業記録に残したか。
- 再比較で意図した差分だけが解消したか。
- 参照画面だけでなく、設定を使う業務処理で結果を確認したか。
- 移送依頼・変更履歴・復元手順を、プロジェクトのルールどおりに扱ったか。
参考・関連記事
- クライアント間の移送を行う:SCC1:移送依頼に記録済みの変更を同一システムの別クライアントへ反映する場合の関連手段です。
- 環境間のカスタマイズの比較をするトランザクション:SCU0:個別ビューより広い範囲で設定差分を確認したいときに役立ちます。
- SE16Nでテーブルデータを変更する方法と注意点|SM30との使い分け:対象データをSM30で保守してよいかを整理できます。
- テーブルデータの内部形式と外部形式を確認するならSE16N:反映前後の値を照合するとき、表示形式の違いを確認できます。