受注生産or見込生産:製造業の生産形態について

SAPのERPを導入する企業の業種として、製造業が大きな割合を締めていて、そのような企業では生産管理のシステムが使用されています。

導入しているかどうかは企業の判断になりますが、SAPの ERPにも生産管理のモジュール(PP)があり、関連機能が標準機能として用意されています。SD、MM、FI、COと並んでPPも主要モジュールとして考えられていますが、SAPコンサルの中ではPPを専門としている人は少ないというのが現状です。

ですので、SAPのPPモジュールおよびその前提となる生産管理についての基本知識をいくつかの記事を通して整理していきたいと思います。

注文を受けてから作る受注生産

製造業と一言で言っても、作るものによって色々なやり方があるため、一概にこうとは言えないのですが、大きな分類をすると次の2つに分けることができます。

  • 受注生産
  • 見込生産

どのタイミングで作るのかという違いになりますが、まずは注文を受けてから作る形態を『受注生産』と呼びます。その企業のビジネスモデルによるので、製造する物で一概に分けることはできませんが、一般的には大きなものや、個別対応が必要なものは受注生産をしていることが多いです。

例えば、飛行機を作ったり、ビルを作ったりというような場合は、注文を受けてから作るイメージですよね。そういう生産形態を受注生産と呼びます。

どれぐらい売れるか予測して作る見込生産

それに対して、これぐらい売れそうだから予め作っておいて販売するという形態をとる製造業もあります。そのような生産形態を見込生産と言います。

食品メーカーやアパレルメーカー等が身近でイメージしやすいと思いますが、個別で注文を受けてから作るオーダー品もありますが、多くはメーカーが作っておいた物を買いますよね。そのような生産形態を見込生産と呼びます。

受注生産と見込生産のハイブリッドも

生産形態には2種類あると言いましたが、実はそれらを組み合わせたハイブリッドな形態をとっているメーカーもあります。

この形態で有名なのは、パソコンメーカーのDELLです。DELLのパソコンは、完全な受注生産ではなく、ある程度のところまではあらかじめ作っておいて、最後の仕上げは注文主のオーダーに合わせてカスタマイズして提供するというモデルです。

つまり、製造工程の前半は見込生産しておいて、後半を受注生産で対応するという形です。

これの何が良いのかというと、受注生産というのは注文を受けてから作り始めるので、受注して、作って、提供するまでのリードタイムが長くなりがちです。それを途中まで作った状態で置いておくことで、リードタイムを短縮できるわけですね。

まとめ

今回はSAPのシステムに関係なく、生産形態についての基本的な内容について書きました。

生産形態によって使用する機能やカスタマイズの仕方も変わってきます。最終的には顧客企業にヒアリングして確認していくことではありますが、一般的な知識を頭に入れておくとスムーズに仕事が進むと思いますので、製造業のシステムに関わる時には、今回の話を思い出してみてください。

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