CKMLCPは、実際原価計算を利用する品目の期間末価格を計算するためのトランザクションです。月次処理では、対象品目の選択、計算の準備、決済、期末転記の順に進めます。この記事では、SAP S/4HANAの一般的な処理画面を前提に、作業前の確認から実行後の照合までを整理します。実行項目や名称はリリース・会計設定で異なるため、自社の締め手順書と画面上のパラメータを優先してください。
CKMLCPを実行する前に確認すること
品目元帳が有効なだけでは、月末に実際原価計算を行うとは限りません。対象の評価エリアで実際原価計算を有効にし、対象品目の価格制御が標準価格「S」、価格決定区分が「3」であることをMM03の会計ビューなどで確認します。実際原価計算の有無や仕組みは品目元帳と実際原価計算の基本で説明しています。
| 確認項目 | 確認のポイント |
|---|---|
| 対象範囲 | 会計年度・期間、プラント、会社コード、台帳・通貨(使用する構成)を確定する。 |
| 元伝票 | 対象期間の入出庫、請求書照合、製造指図の決済など必要な転記を終える。遅延転記が残る場合は担当者と扱いを決める。 |
| 前月の状態 | 前期間の実際原価計算が完了し、当月の期首金額に未解決の差異がないか確認する。 |
| 転記期間 | 品目とFIの転記期間、および期末転記の転記日を確認する。締め期間を不用意に閉じない。 |
| 処理時間 | 大量データを扱う場合はバックグラウンド処理、並列処理、業務転記との競合を事前に調整する。 |
原価センタの実際活動単価を取り込む運用では、その計算やCO側の締め作業も先行させます。請求書照合や製造指図決済を後から追加すると原価計算結果が変わり得るため、関係部門と「どの伝票まで当月に含めるか」を決めてから処理します。
CKMLCPの月次実行手順
1.対象期間の原価計算実行を作成する
CKMLCPを開き、当月用の実行IDと説明、会計年度・期間、対象プラントを設定して保存します。台帳別実際原価計算を使用する構成では、あらかじめ用意した実行テンプレートと台帳を選びます。実行IDは後でジョブやログを追えるよう、期間を判別できる命名にしておくと便利です。
2.「選択」を実行して対象品目を確認する
処理セクションの「選択」でパラメータを開き、対象範囲と実行方式を確認して実行します。プラントごとの選択件数とログを確認し、想定した品目が含まれるか、件数が前月と大きく違わないかを見ます。選択件数がゼロなら、期間・プラント・品目の価格決定区分や期間ステータスを確認します。
3.必要に応じて期間ロックを設定し、「準備」を実行する
選択結果を確認した後、準備・決済を許可します。必要な運用ではCKMLCPの期間ロックを設定し、締め対象期間への品目転記を止めます。これは現在期間には設定できません。ロックを使わない構成でも、処理中の転記や品目ブロックを考慮して作業時間を決めます。
次に「準備」のパラメータを確認し、実行します。準備では配賦に必要なデータや実際活動単価、計算順序などが整理されます。終了後はジョブの完了だけで判断せず、品目別ステータスと詳細ログを確認します。エラーがあれば元データ・マスタ・設定を修正してから該当ステップを再実行します。
4.「決済」で期間単価を計算する
「決済」のパラメータと処理方式を確認して実行します。S/4HANAのこのステップでは、原材料から半製品・製品への多階層差異配賦や、期末在庫・消費などへの差異配分を行い、期間単価を計算します。完了後は成功・エラー件数を確認し、代表品目をCKM3Nの品目価格分析で開いて、入庫、差異、消費、期末在庫のつながりを追います。この段階で計算結果を確認し、期末転記に進む前に未配賦差異や異常な単価を調査します。
5.「期末転記」を許可し、転記内容を確認して実行する
決済結果の確認が済んだら期末転記を許可し、「期末転記(Post Closing)」のパラメータを開きます。在庫の再評価や消費の再評価、転記日などは会計方針・設定で結果が変わるため、運用手順書と照合します。テスト実行を選べる画面では、まずテスト結果と想定勘定を確認してから本実行します。本実行後は転記ログと生成された会計伝票を確認します。FI側の期間が閉じていると期末転記ができないため、転記日とオープン期間を事前に合わせておきます。
実行後に確認する3つの結果
- 処理ステータス:各プラント・品目で選択、準備、決済、期末転記が完了しているか。警告・エラー件数とログを保存する。
- 品目価格分析:CKM3Nで主要品目の期間単価、差異の発生元と配分先、期末在庫金額を確認する。想定外の価格高騰や未配賦差異は原因を追う。
- 会計との照合:期末転記の会計伝票と在庫・価格差異勘定の残高を確認し、品目元帳側の金額と整合するか照合する。
期間単価は決済ステップで算出されます。一方、総勘定元帳への在庫再評価仕訳は期末転記の設定・実行によります。「CKM3Nに期間単価があるがFI伝票が見つからない」ときは、期末転記の実行状況とパラメータを先に確認します。
エラーが出たときの切り分け
| 症状 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 対象品目が選択されない | 期間・プラント、MM03の価格制御と価格決定区分、前月処理状況を確認する。 |
| 準備・決済でエラー | ステップの詳細ログから対象品目・活動タイプを特定し、元伝票や配賦設定を確認する。 |
| 期間単価が想定と大きく違う | CKM3Nで差異の発生元、数量、期首在庫、未処理伝票を確認する。 |
| 期末転記が失敗する | 転記日、FI期間、勘定設定、ロック、会計伝票のエラー内容を確認する。 |
エラーを直す際は、必要なステップを同じ実行IDで再実行できるかをログと自社の運用手順で確認してください。すでに期末転記済みの処理を安易にやり直すと、後続期間や会計伝票にも影響します。
旧ERPの手順書と違う理由
旧SAP ERPのCKMLCPでは「単一レベル価格決定」「多階層価格決定」「消費再評価」などが独立したステップとして説明されることがあります。S/4HANAではこれらの計算が主に「決済」にまとめられ、「選択→準備→決済→期末転記」という構成です。旧手順書をそのまま転用せず、利用中の製品・リリースに表示されるステップで確認しましょう。
参考・関連記事
- SAP品目元帳とは?実際原価計算との違い・CKM3Nの見方:CKMLCPで処理する価格差異の前提を整理できます。
- MMの基本プロセス:購買から入庫、請求書照合までの元伝票の流れを確認できます。
- 請求書照合の基本:価格差異の発生元となる請求処理を確認できます。
- 品目の会計期間オープン機能:月次処理前に確認したい品目転記期間の基本です。
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