SAPの管理会計(CO)でよく使うトランザクションコードを、マスタ、計画、実績、配賦、照会の順にまとめました。原価センタや内部指図など、対象のオブジェクトと作業目的を先に決めると、コードを探しやすくなります。
対象環境:SAP GUIを利用するSAP ERPとSAP S/4HANAのオンプレミス/Private Editionを中心に説明します。S/4HANA Cloud Public EditionではFioriアプリを使う運用が中心です。コードの利用可否、画面、権限は製品・リリース・設定で確認してください。
まず押さえる:SAP ERPとS/4HANAの原価要素の違い
SAP ERPでは、一次原価要素の作成・変更・照会にKA01/KA02/KA03を使う運用がありました。S/4HANAでは原価要素がG/L勘定マスタに統合され、原価要素カテゴリを持つG/L勘定として扱います。したがって「S/4HANAで原価要素を作るならKA01」と覚えず、FS00などでG/L勘定を確認します。G/L勘定の構造は勘定コード表と勘定コードで説明しています。
COの主要コードを用途から選ぶ
| やりたいこと | まず確認するコード | 対象 |
|---|---|---|
| 原価センタを作成・変更・照会 | KS01/KS02/KS03 | 原価センタマスタ |
| 利益センタを作成・変更・照会 | KE51/KE52/KE53 | 利益センタマスタ |
| 内部指図を作成・変更・照会 | KO01/KO02/KO03 | 内部指図マスタ |
| 活動タイプを作成・変更・照会 | KL01/KL02/KL03 | 活動タイプマスタ |
| 活動を実績配分 | KB21N | 活動数量と送受信オブジェクト |
| 原価センタや内部指図の実績明細を見る | KSB1/KOB1 | 実績明細 |
この表は入口です。業務ごとの候補は以下で確認してください。
マスタを登録・照会するコード
| 対象 | 登録 | 変更 | 照会 | 見るポイント |
|---|---|---|---|---|
| 原価センタ | KS01 | KS02 | KS03 | 管理領域、有効期間、責任者、階層 |
| 利益センタ | KE51 | KE52 | KE53 | 管理領域、有効期間、階層 |
| 内部指図 | KO01 | KO02 | KO03 | 指図タイプ、責任部門、ステータス |
| 活動タイプ | KL01 | KL02 | KL03 | 活動単位、原価センタとの関係 |
| 原価センタグループ | KSH1 | KSH2 | KSH3 | 集計・選択に使うグループ |
原価センタと利益センタは名前が似ていますが、管理する観点が違います。費用をどこで発生させたかを見るなら原価センタの記事、収益と費用をどの責任単位で見るかは利益センタの記事を参照してください。
計画・活動配分に使うコード
| コード | 用途 | 使い分け |
|---|---|---|
| KP06 | 原価センタの費用計画 | 計画バージョン、会計年度、原価センタを確認 |
| KP26 | 活動タイプの数量・価格計画 | 原価センタと活動タイプの組み合わせを確認 |
| KB21N | 実績活動配分の入力 | 送信元、受信先、活動数量を確認 |
計画値と実績値は別のデータです。たとえばKP26で活動価格を計画しても、KB21Nで実績活動配分を登録したことにはなりません。配分先や価格決定の設定を確認してから実行します。
実績配賦の周期と照会に使うコード
| コード | 用途 | 注意点 |
|---|---|---|
| KSU1/KSU2/KSU3 | 実績配賦周期の登録/変更/照会 | 周期を定義・保守する画面 |
| KSU5 | 実績配賦の実行 | 期間、テスト実行、実行結果を確認 |
| KSB1 | 原価センタ実績明細の照会 | 期間・原価要素・原価センタを絞る |
| KOB1 | 内部指図実績明細の照会 | 指図番号と期間を絞る |
KSU1は周期の登録、KSU5は実行です。周期を作っただけでは費用は配賦されません。また、S/4HANAのUniversal AllocationやFioriアプリでは別の画面を使う場合があり、クラシック周期と新しい配賦機能を同じものとして扱わないようにします。
迷ったときの確認順序
- 対象を決める:原価センタ、利益センタ、内部指図、活動タイプのどれか。
- 操作を決める:マスタ登録、計画、実績入力、配賦、照会のどれか。
- 環境を確認する:SAP ERPかS/4HANAか、SAP GUIかFioriかを確認する。
- 実行前に確認する:管理領域、会社コード、期間、権限、テスト実行の有無を確認する。
FI側で登録した費用もCOの原価オブジェクトへ連携します。FIのコードとの対応はFIトランザクションコード一覧、S/4HANAの明細データの考え方はACDOCAの記事と合わせて読むと理解しやすくなります。
まとめ
COのコードは、対象オブジェクトと処理の段階で探すと整理できます。特にERPのKA01とS/4HANAのFS00、KSU1とKSU5は役割が異なるため、環境と目的を確かめて使い分けましょう。
参考・関連記事
- 原価センタ:KS01で管理するマスタの基本。
- 利益センタ:KE51で管理する責任単位。
- 勘定コード表と勘定コード:S/4HANAで原価要素をG/L勘定として扱う前提。
- FIトランザクションコード一覧:FIとCOで使う画面を行き来するときに。
- ACDOCAとは:S/4HANAの会計明細データを理解する。