仕入先に発注した品物が届いたら、数量や品目を確認し、SAPで入庫を転記します。購買発注伝票を参照して入庫する代表的な画面がMIGOです。通常の購買発注入庫では移動タイプ101を使い、転記すると入出庫伝票(品目伝票)が作成されます。
この記事では、MIGOで購買発注を参照して入庫する基本手順、転記前後の確認項目、移動タイプの使い分けを説明します。購買依頼から請求書照合までの位置付けはMMの基本プロセスで確認できます。
MIGOの入庫は購買発注の後続処理
基本的な流れは購買発注(ME21N)→入庫(MIGO)→請求書照合(MIRO)です。購買発注には「どの仕入先から、何を、いくつ買うか」が記録されます。入庫では実際に届いた数量を転記し、後続の請求書照合では仕入先の請求内容を確認します。入庫と請求書照合は別の処理です。
MIGOは入庫専用ではなく、出庫や在庫の転記などにも使う画面です。選んだ処理区分・参照伝票・移動タイプによって結果が変わるため、発注入庫ではこの3点を先に確認します。
入庫前に確認するもの
- 購買発注番号と明細:対象の品目、発注数量、プラントを
ME23Nで確認する。 - 現物と納品書:品目、実際に届いた数量、必要なロットやシリアル番号を確認する。
- 入庫先:プラントと保管場所、必要に応じて在庫タイプを確認する。
- 転記日付:どの会計期間・在庫期間に転記するかを確認する。
納品数量が発注数量と違う場合は、予定数量のまま転記せず、実際に受け取った数量を入力します。分納なら今回受け取った分を入庫し、残りは後続の入庫で扱います。入庫できる数量や超過入庫の扱いは購買発注とシステム設定に従います。
MIGOで購買発注を参照して入庫する手順
MIGOを起動し、処理区分で入庫、参照伝票で購買発注を選ぶ。- 購買発注番号を入力して明細を呼び出す。通常の発注入庫では移動タイプが
101か確認する。 - 伝票日付と転記日付を確認する。必要に応じて納品書番号も入力する。
- 入庫対象の明細について、実際に受け取った数量、プラント、保管場所、在庫タイプを確認・修正する。ロット管理品などでは追加項目も確認する。
- 入庫する明細の明細OKを選択し、対象外の明細を誤って転記しないようにする。
- チェックを実行してエラーや警告を確認する。警告があれば内容を読んでから処理を続ける。
- 内容が正しければ転記する。表示された入出庫伝票番号と年度を控える。
画面名や項目の位置はSAPの版・画面設定により異なります。検証環境で実際の入力欄を確認してください。特に転記後は単に成功メッセージを見るだけで終えず、対象の発注と在庫に反映されたか確認します。
転記後は何を確認する?
| 確認したいこと | 確認先 | 見る項目 |
|---|---|---|
| 入庫伝票の内容 | MIGOで入出庫伝票を表示 | 伝票番号・年度、移動タイプ、数量、保管場所 |
| 発注に対する入庫履歴 | ME23Nの購買発注履歴 | 対象明細に今回の入庫が追加されたか |
| 現在の在庫 | MMBE | 品目、プラント、保管場所、在庫タイプごとの数量 |
| 会計への影響 | 入出庫伝票から関連する会計伝票を確認 | 評価あり入庫の場合の転記額と勘定 |
在庫数量だけでは入庫の成否を判断しにくい場合があります。勘定設定品や特殊在庫など、通常の自社在庫にそのまま増えない取引もあるため、まず入出庫伝票と発注履歴を確認します。
移動タイプ101・102・122の違い
| 移動タイプ | 代表的な意味 | 使い分け |
|---|---|---|
101 | 購買発注に対する通常の入庫 | 仕入先から受け取った品物を入庫する |
102 | 101の取消 | 誤って転記した入庫を元に戻す |
122 | 仕入先への返品 | 受け取った品物を仕入先へ返す |
入力ミスの取消と実物の返品は業務上の意味が違います。元の入庫を取り消す場合はMIGOの入出庫伝票取消を検討し、仕入先へ返品する場合は返品処理を選びます。すでに後続処理があると取消できないこともあるため、先に伝票履歴を確認してください。
検品後に受け入れる運用では、入庫保留在庫への103と、そこからの受入れを行う105を使う場合もあります。この記事の手順は通常の101を対象としています。
入庫で会計伝票は必ず作られる?
評価ありの購買発注入庫では、入出庫伝票に加えて会計伝票が作成されます。在庫品の標準的な例では、在庫勘定と入庫/請求仮勘定(GR/IR)に金額が転記され、後続の請求書照合でGR/IRを照合します。具体的な勘定・金額は価格管理や勘定設定、カスタマイズによって変わります。
一方、購買発注で評価なし入庫を設定している場合などは、入庫時に同じ会計転記が行われません。「MIGOで入庫したのに会計伝票が見つからない」ときは、まず発注明細の入庫関連設定と取引の種類を確認してください。入庫と請求書照合の関係は請求書照合の記事も参照できます。
よくある確認ポイント
- 発注明細が出てこない:「入庫/購買発注」を選んでいるか、購買発注番号が正しいかを確認し、
ME23Nで入庫可能な明細と履歴を調べます。 - 数量が想定と違う:発注残数と今回の実入庫数を分けて考え、単位、分納、超過入庫許容を確認します。
- 在庫が増えて見えない:プラント、保管場所、在庫タイプ、勘定設定や特殊在庫を確認します。
入出庫伝票を調べるときのデータ構造
ECCでは入出庫伝票のヘッダ・明細を調べる際にMKPF・MSEGを参照します。SAP S/4HANAではデータモデルが変わり、入出庫伝票データは主にMATDOCで管理され、旧テーブル名への互換アクセスが提供されます。アドオンを開発する場合は対象システムのデータモデルと推奨APIを確認してください。
入庫後に請求書照合へ進めない場合
ME23Nの購買発注履歴で入庫数量と未請求数量を確認し、発注明細の入庫基準請求書照合や評価なし入庫の設定を見ます。入庫伝票の転記日付、取消(102)や返品(122)の履歴があると、見かけの入庫数量と請求対象数量が異なることがあります。
参考・関連記事
- SAPの在庫・購買管理(MM)の基本プロセス:入庫が前後の伝票とどうつながるかを確認できます。
- 購買発注伝票の登録(ME21N):入庫の参照元となる発注伝票の基本です。
- SAP MMトランザクションコード一覧:ME23N・MIGO・MMBE・MIROなどをまとめて探せます。
- MMの基本ステップの最後のステップ:請求書照合:入庫後のMIROとERSの基本を確認できます。