SAPでプログラムやカスタマイズの変更を別システムへ運ぶ前に、移送依頼の内容確認とリリースが必要です。SE09/SE10は、移送依頼とその下のタスクを探し、内容や状態を確認してリリースするための移送オーガナイザの入口です。この記事では、初心者が取り違えやすい依頼とタスクの違い、確認項目、操作の順序を整理します。
まず押さえる:移送依頼とタスクの関係
移送依頼は変更をまとめる親の単位で、その下に担当者ごとのタスクを置きます。作業中のオブジェクトや設定変更はタスク側に記録され、リリースされたタスクの内容が親の依頼にまとまります。別システムへ渡すときは、必要なタスクを先にリリースし、最後に依頼本体をリリースします。タスクだけをリリースしても、通常のシステム間移送の準備は完了しません。
SE09とSE10はどちらも移送オーガナイザの初期画面を開きます。表示される選択条件や画面の見え方は環境で異なるため、「SE09は必ず開発、SE10は必ず設定」と決めつけず、依頼の種類と中身を確認してください。
リリース前に確認する6項目
- 依頼番号・説明・担当者:変更申請や作業票と一致するか。似た名前の別依頼を選んでいないか。
- 依頼の種類と移送先:Workbench/Customizingなどの種類、対象システム、移送ルートが意図どおりか。
- タスク:必要な担当者のタスクが依頼の下に揃い、未完了の作業がないか。
- オブジェクト一覧:期待するプログラム・定義・テーブル内容などが記録され、対象外のオブジェクトが混ざっていないか。テーブルデータはキー範囲にも注意する。
- 品質確認:保存・有効化、構文チェック、必要なテスト、関連オブジェクトとの整合性を確認したか。
- 承認と順序:先行する移送依頼、同一オブジェクトの後続変更、プロジェクトのリリース承認を確認したか。
リリース後の依頼は通常、そのまま編集し直せません。移送先やオブジェクトが違う場合は、この段階で担当者と修正方法を確認します。
SE09/SE10で移送依頼の中身を確認する手順
- 開発システムでSE09またはSE10を起動する。依頼番号、担当者、依頼の状態などの選択条件を指定し、一覧を表示する。
- 対象依頼を開き、親の依頼と子のタスクを展開する。番号、説明、担当者、状態、移送先を確認する。
- 依頼またはタスクを開き、オブジェクト一覧を確認する。期待する変更がどのタスクに入っているか、オブジェクト種別とキー範囲を追う。
- 依頼に関係する担当者へ作業完了を確認する。必要なテストと承認が終わるまでリリースしない。
自分の依頼が見つからない場合、まず選択条件の担当者・状態・依頼種類を見直します。別担当者のタスクや既にリリース済みの依頼は、初期の絞り込みで隠れていることがあります。
タスクと依頼をリリースする手順
- 依頼の下にある対象タスクを選び、画面の「リリース」に相当する操作を行う。複数タスクがある場合は、担当者ごとに内容と完了状況を確認して進める。
- タスクの状態がリリース済みになったことを確認する。エラーが出た場合はメッセージを読み、未保存・未有効化などの原因を解消する。
- 必要なタスクがすべてリリースされたことを確認してから、親の移送依頼を選び、リリースする。
- 依頼の状態とエクスポート結果・ログを確認する。エラーがある場合は「リリースボタンを押したから完了」と判断せず、移送担当者と原因を調べる。
リリースのメニュー名やボタンの形はSAP GUIのバージョンで変わります。アイコンの見た目より、選択中の行が「タスク」か「依頼本体」かを確かめることが重要です。
リリース後はSTMSで取り込みと結果を確認
依頼本体のリリース後、移送ルートに沿って移送先のインポートキューに依頼が置かれます。リリースは移送先への反映完了を意味しません。取り込み担当者がSTMSで対象システム・クライアントと依頼番号を確認してインポートし、ログと業務結果を検証します。
同じシステム内の別クライアントへ、移送依頼に記録されたテーブルデータを反映する場合はSCC1/SCC1Nが関連します。こちらは通常のシステム間インポートとは別の作業です。
よくある質問
タスクだけリリースすれば、検証システムに届きますか?
通常は届きません。タスクの内容を親の依頼へまとめた後、依頼本体をリリースしてエクスポートし、移送先で取り込む必要があります。
リリース後に変更を追加したい場合は?
リリース済みの依頼をそのまま編集する前提にせず、追加変更を新しい依頼へ記録する方法を、プロジェクトの移送管理ルールに従って確認します。
依頼が見えない場合、権限を追加すればよいですか?
まず選択条件と依頼番号、担当者、状態を確認します。それでも見えなければ管理者に権限や依頼の所在を確認し、独断で権限を変更しないでください。
参考・関連記事
- STMSで移送依頼を取り込む方法:依頼本体をリリースした後、別システムへ取り込む流れです。
- SCC1・SCC1Nでクライアント間に移送依頼を反映する方法:同一システム内の別クライアントへ設定データを反映する場合の関連記事です。
- SCU0でカスタマイズをクライアント・環境間比較する方法:移送前後の設定差分を確認するときに役立ちます。
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