SAP MMの基本プロセス|購買依頼から請求書照合まで

SAP MM(購買管理・在庫管理)の基本をつかむには、まず「必要なものを依頼する→仕入先に発注する→届いたものを入庫する→請求内容を照合する」という一連の流れを見ると分かりやすくなります。この記事では、在庫品を仕入先から調達する代表的なケースを例に、各工程で作る伝票と確認点を整理します。購買依頼を省略する場合や、役務・直接消費品など、実際の処理は取引条件によって変わります。

MMの基本プロセスを4工程でつかむ

工程主なトランザクション何をするか主な伝票
① 購買依頼ME51N社内で必要な品目・数量・希望納期を依頼する購買依頼
② 購買発注ME21N仕入先、価格、数量、納期などを決めて発注する購買発注
③ 入庫MIGO届いた数量を確認して入庫を転記する入出庫伝票(マテリアル伝票)
④ 請求書照合MIRO仕入先の請求を発注・入庫内容と照合して転記するMM請求書伝票

購買発注を軸に後続の入庫・請求書照合がつながります。ME23Nの購買発注履歴を見れば、同じ発注明細に対して何が入庫・請求済みかを追跡できます。

① 購買依頼:社内の必要を購買部門へ伝える

購買依頼は社内で「何を、いつまでに、どれだけ必要か」を伝える伝票です。ME51Nでは品目、数量、納入日、プラントなどを入力します。勘定設定を伴う購買では、費用を負担する対象も確認します。購買依頼から発注を作る場合は、依頼内容を参照して引き継げます。

購買依頼は必ず手入力するわけではありません。所要量計画(MRP)などから作成されることもあり、業務によっては購買依頼を介さず購買発注から始めます。画面の入力項目はME51Nで購買依頼を登録する方法で詳しく説明しています。

② 購買発注:仕入先との取引条件を確定する

購買発注は仕入先への注文を管理する中心の伝票です。ME21Nで仕入先、購買組織、品目、数量、価格、納入日、納入先などを確認して登録します。承認や仕入先への出力・送信が必要な場合、その運用は会社の設定に従います。

保存後は発注番号を控え、ME23Nで明細・納入日・発注履歴を確認します。次の入庫と請求書照合で参照するため、数量単位や価格条件の誤りをここで防ぐことが大切です。操作の流れはME21Nで購買発注を登録する方法を参照してください。

③ 入庫:届いた数量を在庫に反映する

品物が届いたら、購買発注を参照して実際の受入数量を確認し、MIGOで入庫を転記します。通常の購買発注に対する入庫では移動タイプ101を使うことが多く、転記すると入出庫伝票が作られ、発注履歴にも反映されます。納入数量が発注数量と異なる場合は、受入可能な数量や分納の扱いを確認します。

入庫のたびに必ず会計伝票ができるわけではありません。評価在庫への入庫では在庫とGR/IR(入庫・請求仮勘定)に会計転記されるのが代表例ですが、非評価入庫などでは入庫時に会計転記されないケースがあります。実際の伝票と確認箇所はMIGOで購買発注を参照して入庫する方法にまとめています。

④ 請求書照合:発注・入庫・請求の差を確認する

仕入先から請求書が届いたら、MIROで購買発注を参照し、請求数量・金額・税額などを確認します。発注条件や入庫実績との相違は、転記前に原因を調べます。転記によってMM請求書伝票が作成され、通常はFI側にも仕入先債務などの会計転記が行われます。仕入先への支払はこの後のFIの工程です。

入庫基準請求書照合が設定された明細では、対応する入庫を基準に請求書を登録します。設定されていないケースでは請求書が入庫より先に転記されることもあるため、常に「入庫→請求書」の順とは限りません。MIRO、MIR4、MR8Mなどの周辺機能は請求書照合の記事で確認できます。

入庫と請求書照合で会計はどうつながるか

評価在庫を購買し、税や価格差を省いた単純な例では、会計上は次のようにつながります。

工程借方貸方
入庫在庫GR/IR
請求書照合GR/IR仕入先債務

GR/IRは入庫と請求書の時間差をつなぐ勘定です。数量や金額が一致しない、片方だけが転記済みといった場合は残高が残ります。「請求書照合をしたら必ずゼロになる」と考えず、発注履歴と差異の原因を確認してください。勘定設定、価格差、税、評価方法によって実際の仕訳は変わります。

実務でよくある流れの違い

  • 購買依頼を使わない:購買発注から始める運用があります。
  • 分納・分割請求:1件の発注に複数の入庫や請求書がひも付きます。発注履歴で明細ごとの残量を追います。
  • 入庫と請求書の順序が逆:入庫基準請求書照合を使わない場合など、請求書が先になることがあります。
  • 役務や直接消費品:在庫品とは受入方法や勘定設定が異なります。上の在庫仕訳をそのまま当てはめないでください。

まずは「購買発注を中心に、依頼・入庫・請求書の伝票を追う」ことを押さえると、MMの画面やエラーの意味を理解しやすくなります。

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