SAPの財務会計(FI)でよく使うトランザクションコードを、総勘定元帳(GL)、債権(AR)、債務(AP)、固定資産(AA)、決算処理に分けて整理しました。コードだけを暗記するより、「伝票を登録する」「明細を照会する」「消込を行う」という業務の流れに沿って探すと使い分けやすくなります。
対象:主にSAP GUIで操作するSAP ERPおよびSAP S/4HANAのオンプレミス/Private Editionを想定しています。利用できるコードや画面、Fioriアプリへの置き換えは、製品・リリース・権限・導入設定で異なります。実際のシステムではメニューまたはSE93で確認してください。
会計伝票の登録・照会・取消
まずはFI全体で使う基本操作です。伝票の登録画面は取引先を含むか、G/L勘定だけを扱うかで選びます。
| コード | 用途 | 使い分けのポイント |
|---|---|---|
| FB01 | 会計伝票登録 | G/L、得意先、仕入先などを含む伝票を入力する基本画面。 |
| FB03 | 会計伝票照会 | 会社コード・伝票番号・会計年度を指定して転記済み伝票を確認。 |
| FB02 | 会計伝票変更 | 転記済み伝票の変更可能な項目を修正。金額や勘定を直す場合は反対仕訳と再転記を検討する。 |
| FB08 | 会計伝票の反対仕訳 | 転記済み伝票を取り消す際に使用。消込済み明細は先に消込の状態を確認。 |
| FBRA | 消込のリセット | 消込済み明細の消込を取り消す。必要に応じて消込伝票の反対仕訳も選択。 |
| FBV0 | 未転記伝票の転記 | 未転記伝票を確認して正式に転記する。 |
| F.13 | 自動消込 | 条件に合う未消込明細を自動で消し込む。実行前に選択条件と消込ルールを確認する。 |
FB01・FB50・FB60・FB70の違いは会計伝票登録用トランザクションの解説、承認を挟む運用は未転記伝票の解説も参照してください。
総勘定元帳(GL)で使うコード
| コード | 用途 | 使い分けのポイント |
|---|---|---|
| FS00 | G/L勘定マスタの登録・変更・照会 | 勘定コードの基本データと会社コードデータを扱う。 |
| FB50 | G/L勘定伝票の登録 | G/L勘定を中心とした仕訳を入力。取引先明細を扱う場合は伝票の種類に合う画面を選ぶ。 |
| FV50 | G/L勘定の未転記伝票登録 | 内容確認や承認を経てから転記する運用で使用。 |
| FBL3N | G/L勘定明細照会 | 勘定ごとの明細を調べる。 |
| FAGLL03 | G/L勘定明細照会(New GL) | 元帳を意識して明細を確認する場合の候補。利用可能な画面は環境で確認。 |
| FS10N | G/L勘定残高照会 | 期間別の残高を確認する。 |
| FAGLB03 | G/L勘定残高照会(New GL) | 元帳別の残高確認に使用する場合がある。 |
| F-03 | G/L勘定の消込 | 未消込明細を手動で消し込む。 |
FS00で管理する勘定の構造は勘定コード表と勘定コードの記事、得意先・仕入先とG/L勘定の関係は統制勘定の記事で確認できます。
債権(AR)で使うコード
| コード | 用途 | 使い分けのポイント |
|---|---|---|
| BP | 取引先マスタの登録・変更・照会 | S/4HANAでは得意先のマスタ保守の入口として使用。必要なBPロールと会社コードデータを確認。 |
| FB70 | 得意先請求書の登録 | FIで得意先への請求を直接入力する場合に使用。SD請求の会計連携とは区別。 |
| F-28 | 入金転記 | 得意先からの入金を登録し、対象債権との消込を行う。 |
| F-32 | 得意先明細の消込 | 既存の未消込債権を手動で消し込む。 |
| FBL5N | 得意先明細照会 | 未消込・消込済みの債権明細を確認。 |
SAP ERPの従来の得意先マスタ保守コードを使う運用もあります。S/4HANAではBPを中心に確認し、利用可能な画面をシステムごとに判断してください。
債務(AP)で使うコード
| コード | 用途 | 使い分けのポイント |
|---|---|---|
| BP | 取引先マスタの登録・変更・照会 | S/4HANAでは仕入先のマスタ保守の入口として使用。仕入先ロールと会社コードデータを確認。 |
| FB60 | 仕入先請求書の登録 | FIで仕入先請求書を直接入力する場合に使用。購買発注に基づく請求書照合はMIROを確認。 |
| F-53 | 出金転記 | 仕入先への手動支払と対象債務の消込に使用。 |
| F-44 | 仕入先明細の消込 | 既存の未消込債務を手動で消し込む。 |
| FBL1N | 仕入先明細照会 | 未消込・消込済みの債務明細を確認。 |
| F110 | 自動支払 | 支払提案と支払実行を行う。支払媒体の作成は設定や運用方式も確認。 |
| F-47 | 仕入先前渡金請求 | 前渡金の請求(備忘明細)を登録する。実際の支払転記とは別の工程。 |
購買発注に基づく請求書を扱う場合はMM請求書照合(MIRO)の記事、買掛金と未払金の違いは買掛金・未払金の記事を参照してください。
入金・出金をこれから転記する場合と、すでにある未消込明細を消し込む場合の違いは、入金・出金と消込の使い分けで得意先・仕入先別に説明しています。
固定資産(AA)で使うコード
| コード | 用途 | 使い分けのポイント |
|---|---|---|
| AS01/AS02/AS03 | 固定資産マスタの登録/変更/照会 | 資産マスタのライフサイクルに合わせて使い分ける。 |
| AW01N | 資産エクスプローラ | 取得価額・償却・帳簿価額などを資産単位で確認。 |
| AB01 | 固定資産取引の登録 | 資産取引を手入力する場合に使用。取引タイプの選択に注意。 |
| AB08 | 固定資産取引の反対仕訳 | 誤った資産取引明細を取り消す。 |
| ABAVN | 固定資産の除却 | 廃棄による除却を登録。売却による除却とは処理を区別。 |
| ABMA | 手動償却 | 通常の計画償却以外で手動の償却を登録する。 |
| AFAB/AFABN | 償却記帳 | 償却額を会計に転記。使用するコードは製品・リリースで確認。 |
月次・年次処理で使うコード
| コード | 用途 | 使い分けのポイント |
|---|---|---|
| OB52 | 会計期間のオープン・クローズ | 転記可能な期間を設定。対象の会計期間バリアントと権限を確認。 |
| FAGLGVTR | G/L勘定残高の繰越 | New GL環境の残高繰越。S/4HANAでは処理範囲を環境に合わせて確認。 |
| F.07 | 得意先・仕入先残高の繰越 | 主にSAP ERPの債権・債務残高繰越で使用。S/4HANAでの要否は導入構成を確認。 |
一覧の使い方と注意点
- 業務目的で探す:登録、照会、消込、取消、決算のどの工程かを先に決めます。
- 対象を確認する:G/L、得意先、仕入先、固定資産のどの明細を扱うかで画面が変わります。
- 自社環境で確認する:同じコードでも権限・設定・製品によって利用可否や表示内容が異なります。特にS/4HANA Public EditionではFioriアプリ中心の運用を確認してください。
一覧を1ページで引けるようにし、個別の手順は関連記事へ分けています。新しいトランザクションを使う前には、権限、会計期間、伝票タイプ、対象会社コードを確認してください。
参考・関連記事
- 入金・出金と消込の使い分け:F-28・F-53とF-32・F-44の違い。
- 会計伝票登録用トランザクションの違い:登録画面を選ぶ基準。
- 勘定コード表と勘定コード:FS00で扱うマスタの基本。
- 統制勘定とは:AR・APの明細とG/Lの関係。
- 会計期間のオープン・クローズ:月次処理の入口。
- CO関連のトランザクションコード一覧:FIと合わせて確認したい管理会計のコード。